中華そば青葉 中野本店

本店に来たのはいつぶりだろうか、かつて西荻窪に住んでいた頃、青葉新味と称した青葉西荻窪店があった。いつのまにか潰れてしまったが、今にして思えば調理するのはいつもマスターだけで、大分ブラックな環境だったのではないかと思う。お別れの挨拶も出来ないまま数ヶ月経ったのち、ふらっと入った中野本店でせこせことラーメンを盛り付ける西荻窪のマスターを見かけた。マスターは気づいてくれただろうか?チラ見するも最後まで声を掛けられないまま、"ご馳走さまマスター、達者でな"と胸中で呟いて店を出た、、、のも大分昔の話だ。

特別本店がうまかったという記憶がない、何故なら西荻窪店の新味が、当時私の中の青葉のつけ麺とインプットされていて、本店の味を受け付けなかったのだ。時は流れて私の記憶は上書きされてしまった、最早西荻の青葉の味が思い出せなくなっている。幾重にも積もる経験の雪がわたしの地面を覆い尽くす、時が流れる度何層も何層も積み重なり、その雪が溶けて春が来るまで地面を見る事は出来ない。土の中には球根が埋めてあったはずだ、髪の毛、手の平、愛の光。わたしには時間がない、最早春が来るまで待てないのだ、情念で雪を溶かせ、突き抜けろ、咲け!はんな(花)ー、はんな(花)ー。。。。子供にあげるミルクの方がまだあったかいのでは?とさりげなく思わせる大らかな母のような優しさこそ、ミシュランを取得した大盛り特製つけ麺だ。チャーシューは足せません、たまごも足せません、足すなら特製頼んでね、これが青葉だ。ネギ?足せません、柚子胡椒?声かけてね、これが青葉だ。つけ麺がぬるい?お客さん馬鹿言っちゃいけないよ、ラーメンも標準よりはぬるいんだぜ、これが青葉だ。そのぬるさは制服×ニーハイの組み合わせくらい説明不要、それが青葉だ。昼時だが並んではいなかった、店員は3名いたが手が空くと同じ方向を向いてボーっと店外を眺めていた。中通りロッテリアでは珍しくバイトが店先で呼び込みをしていた。ひたすらに曇っているだけで雨は中々降りそうにない、嫌な天気だが中野に妙にあっていた。日本の梅雨、つけ麺の梅雨。f:id:OSX:20190703133838j:plain